「花」

       「曼珠沙華」

店先に咲いた花に毎朝目が釘付けになる

今日観察すると 花弁が五弁のものと六弁のものがある事に気付く。

五弁のものより六弁のもののほうが大きい

六弁あるから大きいのか 大きいから六弁になるのか

 

どっちでもいい

 

そして蜜に誘われた小さな蟻が花びらを行き来する。

只、眺めて 只、この小さな世界を視るのである。

宇宙の形もまた同じ様なことかも知れない。

 

 

先人の言葉にこんな言葉がある 

 

美しい「花」がある、「花」の美しさといふ様なものはない。

                       小林秀雄

日本の美は最も具体的なものである。世阿弥がこれを「花」と呼んだとき、われわれが花を一理念の比喩と解することは妥当ではない。

それはまさに目に見えるもの、手にふれられるもの、色彩も匂いもあるもの、つまり「花」に他ならないのである。

                       三島由紀夫